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日本ツクリダス

ものづくり×IT×デザインがつくる“ありえへん”町工場~日本ツクリダス株式会社~(前編)

日本ツクリダス株式会社

大阪府堺市の町工場、日本ツクリダス株式会社。同社は金属加工を行うものづくり企業である。同社では、日々の業務や製造現場での課題に対して、様々なデジタルツールを巧みに活用することで極めて効率的な働き方を実現している。同時に、ここで培ったノウハウを活かしつつ、デザインとITの力で「製造業に寄り添う企業」として、他社の販促支援やデジタル化・DX支援等の事業も展開している。同社における様々な取組やその背景について、同社代表取締役角野嘉一氏にお話を伺った。今回は前編として、日本ツクリダス社におけるデジタルツールの活用事例を紹介する。

日本ツクリダスにおける様々な取組

日本ツクリダス社では、経営者である角野氏自身がデジタルツールの導入や活用にコミットするとともに、組織文化の醸成を重視し、デジタルネイティブな組織を作り上げることでデジタルツールを活用した様々な取組を展開している。まずは、同社におけるデジタルツールの活用の一部を紹介する。

エムネットで情報を一元管理
エムネットによる情報の一元管理
議事録作成の半自動化
議事録作成の半自動化
在席・離席をその場で確認
在席・離席をその場で確認

情報の一元管理による工程の全体最適

日本ツクリダスでは、生産工程に関するあらゆる情報を同社が開発した生産管理ソフト「エムネットくらうど(以下エムネット)」上で一元的に管理している。この生産管理ソフトの特徴は、「図面一枚毎の工程管理」にフォーカスしている点である。同社では自社製造・加工を多く手掛ける一方、加工の一部を外注することも多い。この際に課題となるのが、一つの図面(案件)に紐づく様々な工程の進捗状況の管理である。同社では従来から一つの案件(図面)にフォーカスした管理ができる生産管理ソフトを探してきたが、納得のいくものに出会えず、自社開発を行った。このエムネットは、1枚の図面に対してユニークな番号とそのバーコードを発行し、その番号をキーにすべての工程に関する情報を紐付けて登録・管理・確認できる。一つの案件(図面)に対する見積の進捗や社内の製造・加工、外注先での製造・加工の進捗や検査の進捗、出荷の状況、在庫管理など、一つの図面に対するあらゆる情報をこのエムネット上で一元管理している。これにより、一つの案件ごとの状況が可視化され、各工程での部分最適がなされる。また、全部門の担当者がエムネット上で各案件の情報を確認できるため、各工程の担当者が全体の工程を見渡し、前工程に対して要望により、工程の全体最適も自ずと実現される。また、エムネットは外部のクラウドストレージと連携が可能であり、番号に紐づく図面や見積もりをすぐに検索できる。この機能を活かして、例えば検査工程においてタブレット端末とスタイラスペンを用い、クラウドストレージ上の図面データに直接検査結果を手書きして保存・共有するといった取組にもチャレンジしている。

さらに、エムネット上での情報管理は生産工程のみにとどまらない。一つの「もの」を一つのユニークなバーコードで管理するという特徴を活かし、生産設備や人材教育の管理もこのエムネット上で行っている。たとえば、設備のメンテナンスのタイミングや、営業車のオイル交換の時期、さらには従業員毎の職能教育の進捗管理など、生産工程だけでなくあらゆるものの進捗管理をエムネット上で行っている。

情報の可視化による業務の効率化と情報の浸透

日本ツクリダスでは、「ニッツクNow」という社内ポータルを構築し、会社に関するあらゆる情報を一箇所に集約し、閲覧できるようにしている。例えば、週間報告。週次の報告や定例会の議題、関連資料等はGoogle Form上に投稿し、投稿されたデータはこのポータル上で過去のログも含めすべて閲覧できるようになっている。これにより、極めて効率的な会議運営を実現している。また、会社の売上状況やそれと連動するボーナスの原資額までもがリアルタイムにこのポータル上に反映され、誰でも確認ができるようになっている。会議の情報や業績に関するものだけでなく、就業規則や会社方針の説明資料、社内研修の動画など、業務をすすめる上で必要となる情報がすべて閲覧できる。これにより、業務効率化はもちろんのこと、経営方針や様々な取り組みを社内に浸透させることにも役立ち、会社の文化醸成にも役立っている。

さらにきめ細やかな工夫が随所に

上記の大きな取組の他にも、デジタルツールを活用した様々な工夫が見られる。いずれについても、闇雲にデジタル化を進めるのではなく、アナログの利点、デジタルの利点双方を見極め、課題の本質的な解決につながる形でデジタルツールを選定、導入している。以下に取り組みの一例を記載する。

  • 会議室にマイクを設置し、音声認識ソフトを使い議事録の作成を自動化する

会議室にマイク複数台とミキサーを設置し、音声認識ソフトを活用して議事録の作成を半自動化し会議効率を向上。

  • 社内SNSを導入し、会社の文化醸成、社員間のコミュニケーションを促進

「〇〇さんが重い荷物を運ぶのを手伝ってくれた」といった、日常の感謝をお互いに送り合うことで、お互いに感謝し会える文化を醸成。

  • コミュニケーションチャットを導入し、タスクと担当者を明確に見える化

単に業務上のメッセージを贈り合うだけでなく、伝言メモ等をタスク化して送るルールを徹底。担当者を明確化するとともにコミュニケーションミスによる作業漏れを防ぐ。

  • 各フロアにカメラを設置し、在席・離席を見える化

各フロアにカメラを接続したPCを設置し、Discord(WEB会議システム)で接続。電話を受けた際に担当者を探し回り相手を待たせる、相談事がある際に担当者を探すといった無駄を削減。

このように日本ツクリダスでのデジタルツールの活用事例には枚挙にいとまがないが、これらはいずれも無料や月数百円からスタートできるデジタルツールを組み合わせで実現している。一つ一つの取組の積み重ねが会社全体での業務のデジタル化に繋がり、結果として会社全体でデジタルを活用した極めて効率的な業務を実現している。

目的 ツール名
生産管理エムネット
コミュニケーションチャットワーク
社内ポータル(ニッツクNow)Google Workspace
社内SNSRECOG
クラウドストレージDropbox
その他Discord、ジョブカン 等
日本ツクリダスで使用しているデジタルツールの一例

このように様々な角度から多くの取組を積極的に推進する日本ツクリダス。次回の中編では、社内におけるデジタル化・DX推進の考え方について同社代表取締役 角野 嘉一 氏に行ったインタビューの内容を掲載する。

★中編の公開は2021年9月21日を予定しています。

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