【イベントレポート】中小製造業のさらなる成長に向けた生産性向上の具体的方策とDXへのアプローチ
2021年9月7日(火)14:00~16:00にて、中小製造業のDX推進を目的としたセミナー、「中小製造業のさらなる成長に向けた生産性向上の具体的方策とDXへのアプローチ」を開催いたしました!
今回はそのイベントレポートをお届けいたします。ちなみに、登壇者の皆さまの講演動画や資料も公開しておりますので、「参加出来なかった!」という方や「見逃した!」という方は、このページの下部からぜひご覧ください。
イベント概要
本セミナーでは、基調講演に中小企業経営論の第一人者である明治大学経営学部教授 岡田浩一先生をお迎えし、IT活用による生産性向上を切り口にDXの考え方についてご講演をいただきました。また、当財団が実施しているアンケート調査等に置いても、「具体的なソリューションが知りたい」、「相談先がわからない」といった回答が寄せられていることから、中小製造業のDXを支援する具体的なソリューション・サービスを保有する企業3社からの講演も実施しました。
本イベントの開催概要やプログラムについては以下のページからご確認ください。
前置きが長くなりましたが、ここからは当日のセミナーの概要をお届けします!
基調講演:生産性向上に必須のIT利活用 ~DX対応と期待される伸びしろ~
基調講演では、中小企業経営論の第一人者である明治大学経営学部教授 岡田 浩一先生から「 生産性向上に必須のIT利活用 ~DX対応と期待される伸びしろ~ 」と題してご講演をいただきました。
岡田先生の講演では、
DXを始めとして、様々な難しい言葉、はやり言葉が出てきている。しかし、流行り言葉に踊らされず、本質を追求することが重要。本質とは、自社の目指す姿(To be)を実現すこと。そして”To be”を実現するための効率的、効果的な課題解決の手段がIT・デジタル化である。
という先生のお考えのもと、DXの本質を背景、具体的な3件の事例を交えつつ解説をいただくとともに、はじめの一歩を踏み出すための様々な支援施策等についてもご紹介をいただきました。
個人的に印象に残ったのは、
IT活用ができていない中小企業も、日々生産性を上げるために様々な努力をしている。そんな中小企業がITを活用すれば、もっともっと業績を伸ばすことがができる。IT活用が遅れていると悲観するのではなく、伸びしろであると捉えどんどんチャレンジするべき。
難しく考えることはない。周りに相談することもIT活用による生産性向上、DXの大きな第一歩。
その一歩をまずは踏み出してほしい。
という趣旨の言葉でした。DXに関する背景や考え方についての解説も大変わかりやすく、いろいろな気づきが得られる講演でしたが、何より岡田先生の情熱に勇気づけられ、背中を押してもらえているように感じられる講演でした。岡田先生、素晴らしいお話をありがとうございました!
企業講演
今回のセミナーでは、中小製造業のDXを具体的に支援している企業3社から、各社のソリューションを紹介いただく機会を設けました。この背景には、冒頭でも記載したとおり、当財団の実施するアンケート等において、「具体的なツールがわからない」、「誰に相談したら良いのかわからない」という声が寄せられていることがあります。DXに関する概念の理解ももちろん重要ですが、より具体的なDX関連のソリューションを知っていただくことも関西でDXを推進する上で重要だと考えております。ここでは、当日に登壇いただいた3社の講演(ソリューション)の概要をご紹介します。
目次
AIを活用した生産計画システム「最適ワークス」のご紹介
(株式会社スカイディスク SaaS 事業部 下 佑士朗 氏)
株式会社スカイディスクはAI(人工知能)の活用による製造業DX支援を行っている企業で、その支援実績は250件以上にものぼります。今回は、当社が開発したAI生産スケジューラ「最適ワークス」のご紹介をいただきました。
最適ワークスは、同社のWEBサイトによると、
最適ワークスとは「どの製品を・何個・いつまでに」というオーダー情報から設備・人員の最適な割り当て計画をAIがサクッと立案。250件以上の製造業向けDX支援実績を持つスカイディスクが開発した生産計画最適化ソリューションです。
https://skydisc.jp/information/3189/
とのことで、どうしても属人化しがちな生産計画の作成を効率化するソリューションです。
なお、このソリューションを活用した中小企業のDX支援については、経済産業省近畿経済産業局 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」 に採択されています。
導入にあたっては補助金の活用も可能です。(←ココ重要です!!)
講演動画は以下からご覧いただけますので、ぜひ概要を把握いただくとともに、「最適ワークス」に限らず、AI関連の課題等がありましたらぜひお問い合わせ等いただければと思います。
中小企業のシステム連携課題を解決するアプリネットワークプラットフォーム
(センターフィールド株式会社 取締役 本部長 原島 啓輔 氏)
センターフィールド株式会社は、パッケージソフトの展開のほか、決済代行や物流代行も手掛けるソリューションベンダーです。今回は、中小企業の社内に存在するシステム同士を連携させるアプリケーションをノンプログラミングで作成でき、また既に作成されているアプリケーションを利用できるプラットフォームサービスについてご紹介をいただきました。
ユーザ企業にとっては、連携させたいシステム同士の連携システムを構築するコストを低減し、安価にシステム連携を実現するためのアプリケーションが導入できるようになります。また、連携システムを作成するシステム会社にとってもフロー型のビジネスになりがちな連携システム構築をストック型ビジネスに転換できるといった双方にメリットのあるプラットフォームになっています。
原島さんのプレゼンが非常にわかりやすいので、ぜひご視聴いただき、興味を持っていただければと思います。
なお、このサービスについてもスカイディスクさん同様、経済産業省近畿経済産業局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」に採択されています。
このプラットフォームに限らず、まずはシステム連携に関する課題があればぜひ、お問い合わせ等いただければと存じます。
中小製造業におけるDXリーンスタートの支援
(チトセ工業株式会社 事業開発部 部長 岡 進 氏)
チトセ工業株式会社は、金属プレス・板金加工・金型設計・制作、無酸化炉中ろう付け加工(ブレージング)、無線電子機器設計・製造を行う企業です。
データを使って工場がつながる・つなげるための第一歩として、環境や設備稼働状況の可視化を行うための無線データロガー「Logbeeシリーズ」や設備稼働の見える化システム「Haruca Smart Press」についてご紹介をいただきました。
チトセ工業さん自身も中小製造業であり、これらの商材を自社で実証しながら開発されているとのことで、非常に説得力のあるご紹介でした。
工場内の見える化にご興味・ご関心があればぜひ、お問い合わせいただければと存じます。
なお、当財団では関西DX推進プラットフォーム事業(令和3年度経済産業省近畿経済産業局地域新成長産業創出促進事業費補助金(地域産業デジタル化支援事業)採択事業)の一環として、チトセ工業さんのHaruca Smart Pressの開発を一部ご支援させていただいております。
終わりに
今回、DXに関する理解を深めていただき、はじめの一歩を踏み出すきっかけを提供させていただければという思いで本セミナーを開催いたしました。まずは本セミナーにご登壇いただいた皆様と開催にあたって共催、後援を頂いた団体の皆様に感謝申し上げます。
当財団では引き続き、こういった具体的なソリューションを紹介するセミナーやDX関連の事例紹介等の事業を通して、DXに取り組む、そしてこれから取り組もうとされている企業の皆様のお力になれればと考えておりますので、引き続き当財団事業へのご理解・ご協力をお願い申し上げます。
参考情報
株式会社スカイディスク
株式会社スカイディスク「最適ワークス」
センターフィールド株式会社
チトセ工業株式会社
チトセ工業株式会社「Logbee」