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システム連携ツールを提供するプラットフォームで、中小企業のDXを支援【センターフィールド株式会社】

センターフィールド株式会社は、中小零細企業にITソリューションを提供することを目的に、2003年に大阪市に設立された。様々な業務用システムの開発を行うかたわら、複数の決済を一元管理する決済ソリューションや、ユーザー企業の注文データをもとに出荷・物流業務を代行する物流ソリューション、データ入力やカスタマーセンターを代行するカスタマーサポートソリューションなどを提供するソリューションベンダである。
同社はこうした多彩な事業展開をするなか、中小零細企業が運用している様々なシステム同士の連携に大きな課題を抱えていることに気づく。その課題を解決するため、2022年4月5日にリリースしたのが、乱立したシステム間の連携ツールを提供するアプリネットワークプラットフォーム「連携革命!Link Revo(リンクレボ)」だ。2021年には、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」に採択された。
DX推進に苦労する中小零細企業の現状や、その解決に向けた「Link Revo」の開発経緯などをセンターフィールド株式会社の原島啓輔取締役本部長にお伺いした。

様々なシステム間の連携ツールを安価に提供するプラットフォーム「Link Revo」

https://linkrevo.com/

まず、御社が2022年4月にリリースしたアプリネットワークプラットフォーム「連携革命!Link Revo(リンクレボ)」の概要についてお聞かせください。

中小零細企業は、販売管理、在庫管理、会計、顧客管理、勤怠管理、人事管理など様々なシステムを個別に導入し、運用しています。しかし、多くの場合、それらのシステムは連携しておらず、データの再入力など無駄な作業が発生しています。「Link Revo」はこうした課題解決のための、安価に連携ツールを提供するアプリネットワークプラットフォームです。
「Link Revo」にはユーザー企業、システムコネクター、ITツールベンダの3者が参加しています。システムコネクターは、システム連携の専門家で、「Link Revo」ではシステム連携ツールをプラットフォーム上に提供する人をいいます。例えば、ユーザー企業X社が「自社のAシステムとBシステムを連携させたい」という要望をプラットフォームにあげます。その要望を受けたシステムコネクターY社が汎用的な連携ツールZを開発します。そして、ここが「Link Revo」の大きな特徴ですが、システムコネクターY社は、ユーザー企業X社に開発した連携ツールZを販売・納品するのではなく、サブスクリプション方式によって安価に提供していただきます。
では、システムコネクターY社は開発費をどのようにして回収し、さらに利益を上げるのか。それは汎用性の高い連携ツールZをプラットフォーム上のマーケットで発売し、同じような課題を持つX社以外のユーザー企業に対して拡販して、サブスクリプション方式によって利用料金を課金していただくのです。連携ツールZは、簡単な設定だけで動作するように作られているため、すぐに利用を開始することができ、またノンプログラミングであるため、利用するユーザー企業独自の業務などはRPAやワークフローをつなげていくような感覚で、自社独自のカスタマイズをすることも可能です。
ユーザー企業は開発費をかけずに安価に連携ツールを利用でき、システムコネクターはネットワーク上でビジネスを展開でき、ITツールベンダはシステムを提供することで連携ツールの開発をシステムコネクターに任せ、自社システムのサービス向上に専念できます。当社はユーザー企業から月額15,000円の基本利用料金をいただきます。ユーザー企業はその基本料金と、マーケットにある連携ツールを利用するときは、その利用料金を負担していただきます。現在、まだリリースしたばかりですので、参加企業数はまだ少ないですが、これから中小零細企業へ向けて広く訴求できればと思っています。

Link Revoのサービス全体図(提供:センターフィールド株式会社)

ITツールベンダは数多くあり、そこから提供されているシステムも非常に多種多様です。連携ツールを多くのユーザー企業に利用していただくには、汎用性が高くなければなりませんが、多種多様なシステムに対応できる汎用的な連携ツールができるものでしょうか?

何の手も加えずに、どんなシステム間の連携もできるというわけではありません。共通部分を汎用的に作っておいて、先ほどRPAやワークフローをつなげていくような感覚と申し上げましたが、あとはユーザー企業がタスクを追加して利用していただきます。
とはいうものの、タスクの追加を自社でできないユーザー企業もあるでしょう。そういった企業には購入してすぐに使える連携ツールをシステムコネクターに今後、どんどん開発していただき、同じようにマーケットで販売していきます。

Link Revoをコアにパートナー企業が展開する様々なサービスが連携していく(提供:センターフィールド株式会社)

使い勝手のいいクラウドサービスの普及によって高まるシステム連携のニーズ

「Link Revo」は斬新なプラットフォームだと思いますが、どのような経緯で開発されたのですか?

当社は長年、中小零細企業とお取引させていただく中で、システム同士を連携できないかと相談されることがあり、最近、とくに増えてきました。連携ツールを開発することは技術的には難しくないのですが、別の問題がありました。
第一の問題として、連携するだけなので開発コストをかけにくいという事情です。新たなシステムを構築するほどのコストはかかりませんが、開発する以上は数百万円かかることもあります。しかし、ユーザー企業にすれば、新たなシステムを導入するわけではないので、そこまでのコストはかけられません。その気持ちもよくわかりますので、私たちも無理にはすすめません。ユーザー企業と開発する私たちとの間で、こうした費用感のギャップがあり、断念されることがよくありました。
第二の問題として、連携したいシステムを提供しているITツールベンダ同士の合意が必要なことです。どちらのITツールベンダも声がかかるのを待つという“APIお見合い”といわれる状況が生まれています。
ERPのような統合システムを導入することで解決はできますが、中小零細企業にとって期間的にも価格的にもERPは簡単に手が出ません。しかも、ERPは不足する機能があったり、使わない機能がついていたりして、自社の業務に合わせるにはカスタマイズが必要になることも手が出にくい理由です。
こうして結局、システム連携ができないまま、データの再入力といったシステム間をつなぐ人的作業がなくならず、生産性向上の足かせとなっています。また、DXを進めて新しいビジネスモデルを構築するにはデータの活用が不可欠ですので、システム連携できないことが中小零細企業のDXが停滞している大きな要因となっていると考えられます。
そこで、1社だけでシステム連携課題を解決するのではなく、複数のユーザー企業が共同で解決する仕組みができないか、ひいてはそれが中小零細企業のDX土壌を醸成する一助とならないかと考え、「Link Revo」を開発いたしました。

それだけシステム連携のニーズが高まっているということでしょうか? それはなぜでしょうか?

最近は安価で使いやすいクラウドサービスがたくさんありますので、中小零細企業はそれらを必要に応じて個別に導入し、システムが乱立する状況が生まれています。連携ニーズの高まりには、そのような背景があると思います。
しかし、私は個別のシステムが乱立することは悪いことだと思っていません。ERPのような大規模な統合システムを導入するより、使い勝手のいいクラウドサービスを業務ごとに多数導入し、事業の発展に応じて入れ替えていくほうが中小零細企業に適しています。あとはそれらをうまく連携させればいいわけです。

システム連携のイメージ(提供:センターフィールド株式会社)

ユーザー企業との対話から生まれる新しいビジネスモデル

御社が設立された2003年頃は、ITは効率をあげたり、人手をコンピュータに置き換えたりする時代だったと思います。それが業務革新や新しいビジネスモデルの創出につながるDXに移行したのはいつ頃からでしょうか?

設立当初はもちろんDXという言葉はありません。しかし、当社のビジネスはシステムでできるところはシステムに置き換え、その分、人材を本来の業務に投入して、売上を上げていただくことに重点を置いてきました。さらに、当初から新しいビジネスモデルの創出を提案してきました。様々な決済を一元管理する決済ソリューションやユーザー企業の注文データをもとに出荷・物流業務を代行する物流ソリューションは、そのような意図から開発・提供しているものです。
なかでも特徴的なのが「PowerPosition(パワーポジション)」という代理店販売業務管理パッケージシステムです。メーカーが顧客管理や受注、売上、出荷管理、データ分析まで、代理店管理に関わる様々な業務を一元管理するためのクラウドサービスです。代理店開拓や販路拡大に活用していただいています。
あるメーカーが自社製シャンプーをヘアサロンで販売してもらおうと考えたとしましょう。ヘアサロンはメーカーから仕入れて売るので利益は出ますが、商品を在庫したり、売上を立てたり、回収したお金をメーカーに支払ったり、利益以上の手間がかかる恐れがあります。その手間をすべてメーカー側で管理するシステムです。あるいは、そのシャンプーを気に入っているヘアサロンのお客様は、引越してしまうと買えなくなります。そこは管理の機能も付いていて、そのお客様をユーザー登録して引越し先でも買っていただけるようにし、ヘアサロンには利益の一部を還元します。このような仕組みをもって提案すれば、ヘアサロンも販売代理店を引き受けやすく、代理店開拓や販路拡大につながります。
この「PowerPosition(パワーポジション)」はユーザー企業(上の場合、シャンプーのメーカー)の売上向上を目的にしていますので、通常、システム利用料をいただくところを、売上に応じて課金するようにしています。ユーザー企業の売上が上がらなければ、当社への課金も発生しないという料金体系なのです。
このようにユーザー企業の課題を解決し、売上を伸ばし、ビジネスモデルを創出するために、システムを利用していただくという姿勢で設立当初からやってきました。ですので、いつからDXに注力し始めたという意識はありません。当初から現在に至るまで基本姿勢は一緒です。

「Link Revo」や「PowerPosition(パワーポジション)」のユニークなアイデアはどのようにして生まれたのですか?

出発点はユーザー企業の声ですね。ユーザー企業との対話のなかからアイデアは生まれます。対話は「こういうサービスがあったらいい」といった漠然としたイメージから始まり、「こういう仕組みにすれば自社でもできるのでは」とアイデアを膨らませていきます。すでにユーザー企業が一部で似たような業務をされていて、それをシステム化して、ビジネスモデルへと発展させることも多いですね。新しいビジネスモデルの定義は、いまだ世の中で仕組み化されていない部分の仕組み化であると、言えるかもしれません。

目の前の仕事で手一杯な現場では、一つの小さな成功体験が重要

ITを使って改善や改革が進んでいる中小企業と、そうでない企業との違いは何だと思われますか。

失敗を前提にして動けるかどうかが大きいと思います。コストをかけるわけですから、当然、誰も失敗はしたくありません。しかし、失敗することもあります。そのときに失敗を受け入れて検証し、次にステップアップしていくことが成果を生むポイントではないでしょうか。失敗したことで現場が非難されるようなことがあれば、二度とやりたくなくなります。失敗から学び、次に進むというステップアップ思考の企業は、DXを進められると思います。

ということは、一気に大がかりなシステムをめざすのではなく、一段一段ステップアップするように進めることが望ましいでしょうか?

そうですね。壮大な構想を絵に描くことは可能ですが、現場が納得して使えるようでないと、埃のかぶったシステムになりかねません。「手間が減っている感じがしない」、「メリットがわからない」とか、逆に「作業が増えただけ」とか思われては、システム化は進みません。ですので、まずはネックになっている作業や無駄だと思われている問題に焦点を絞り、その解決のためにできるところからシステム化して、「確かに手間が減った」、「効率が上がった」と実感してもらうことが重要だと思います。
中小零細企業の多くの現場は、目の前の仕事で手一杯です。そのため、新しいことを始めるだけの余裕などなく、いっこうに状況が変わりません。それどころか、ますます忙しくなる。こうした悪循環から抜け出すには、手一杯な状況の中でもちょっとした隙間を見つけて、その範囲で使えるシステムを組み、小さくてもいいので成果を上げることが重要です。成功体験を積んで抵抗感が薄まれば、「次はどの業務をシステム化しようか」と前向きな姿勢が生まれ、悪循環が好循環へと変わるはずです。
DXを進めるんだと大上段に構えるのではなく、できるところから始めて成功体験を積み、一段一段ステップアップしていくことがうまくいくコツかと思います。

参加各社の声が相乗効果を生み出すようなエコシステムへの発展をめざす。

ところで、御社ではユーザー企業に課題解決を提案するだけのビジネス感覚を育てるために、どのような人材教育を行っているのでしょうか。

社員の研修はOJTを中心としたもので、他企業とさほど変わらないと思います。ただ、1年前に外部に委託して「お客様のビジネスモデルをつくる」というテーマでDX人材開発研修を行いました。当社はこれまで現場のソリューションを提案してきましたが、さらに高い視座をもって戦略レベルの提案ができるようにとの狙いです。受講後には、社員たちが考えたビジネスモデルを発表するという社内コンテストも実施しました。

最後に、今後のセンターフィールドのビジョンを教えてください。

センターフィールド1社でできることは限られています。ですので、今回リリースした「Link Revo」が参加企業から様々なアイデアを寄せていただいて、新しいソリューションを生み出すプラットフォームになることをめざしています。ユーザー企業の課題を解決するだけでなく、ITツールベンダの発想の転換にもつながればいいと思います。ユーザー企業、システムコネクター、ITツールベンダのそれぞれの声がリンクし、相乗効果を生み出すエコシステムへと「Link Revo」を発展させていきたいというのが当社のビジョンです。そうなれば、様々な社会課題を解決していけると考えています。

企業・サービス概要

企業名センターフィールド株式会社
設立2003年(平成15年)7月2日
所在地【大阪本社】
〒532-0011
大阪市淀川区西中島六丁目7番8号 大昭ビル
【東京オフィス】
〒101-0032
東京都千代田区岩本町二丁目4番5号
インスタイルスクエアS503
資本金3000万円
業務内容企画開発
システム開発
決済代行
物流支援
カスタマーサービス
代表者代表取締役 富田 祐子
WEBページ【センターフィールド株式会社】
https://centerfield.co.jp/
【Power Position】
https://centerfield.co.jp/lp/power-position/
【Link Revo】
https://linkrevo.com/

※本稿は「e-Kansaiレポート2022」からの引用です。

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