DX関連記事

DXに関連する様々な情報を
掲載しています

  1. HOME
  2. ブログ
  3. イベントレポート
  4. 《イベント開催レポート》 セキュリティ・ミニキャンプ in 大阪 2024  一般講座/専門講座

《イベント開催レポート》 セキュリティ・ミニキャンプ in 大阪 2024  一般講座/専門講座

 一般財団法人関西情報センター(KIIS)では、一般社団法人セキュリティ・キャンプ協議会、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)との共催により、2024年3月22日~23日に「セキュリティ・ミニキャンプ in 大阪 2024 一般講座/専門講座」を開催しました。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、過去3年間は対面での講座を中止し、オンラインによる一般講座のみを開催してきました。今回、4年ぶりに対面での一般講座および専門講座を開催することができました。久しぶりの対面開催ということもあり、各講演・ディスカッション、ハンズオン講座いずれも大変盛り上がり、充実した2日間となりました。

■ セキュリティ・キャンプ及びセキュリティ・ミニキャンプについて

 「セキュリティ・キャンプ」は、学生に対して情報セキュリティに関する高度な技術教育・倫理教育を実施し、次代を担う情報セキュリティ人材を発掘・育成する事業です。2004年に開始され、現在は全国大会を首都圏で毎年1回、2013年に開始された地方大会は毎年各地で10回程度開催されています。

 全国大会では、審査を通過した22歳以下の学生・生徒を対象に、45日の合宿形式でみっちり教育します。これまでの約20年の歴史において延べ1,000名以上の高度セキュリティ人材を輩出しており、それらの修了生はさまざまなデジタル活用分野で活躍しています。
 ※参考記事:「セキュリティ・キャンプ」、1,150人のデジタル人材輩出(日経産業新聞202435日、オンライン記事は以下URLのとおり)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2529Z0V20C24A2000000/

 この全国大会に加え、2013年からは、地域拠点における情報セキュリティ人材育成のためのイベントとして「セキュリティ・ミニキャンプ」(地方大会)が開催されています。KIISでは、関西地域での情報セキュリティ機運醸成とともに、関西地域の有望な学生等若手技術者の発掘・育成を目的に、2017年度から関西地域でのミニキャンプ開催に携わってきました。2017年度・2018年度は神戸で、地元の誰もが参加できる一般講座と、学生・若手向けのハンズオン技術実習を伴う専門講座を開催してきました。

 2019年度は、場所を大阪に移して2020年3月の開催を目指していたところですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けやむなく中止しました。翌2020年度から2022年度まではいずれも対面型のセミナー・講座はとりやめ、オンラインの一般講座のみを開催してきました。オンラインとはいえ多数の有識者にご参加いただき、楽しいディスカッションを展開するイベントとして好評をいただいておりました。

 今回、感染症も一定の落ち着きを見せたということで、4年ぶりに対面型での一般講座・専門講座を開催する運びとなりました。

■ 一般講座|2024年3月22日(金)実施報告

 3月22日の一般講座は、「サイバーセキュリティの悩み、専門家が真っ向から挑む」と題し、講演3本、施策紹介3件、トークバトルセッション、ネットワーキングタイムの構成で実施しました。
(イベントフライヤ→ [セキュリティ・ミニキャンプ in 大阪 2024 一般講座フライヤ] )

 まずイベント冒頭、KIIS竹中 篤 常務理事の挨拶に続き、(一社)セキュリティ・キャンプ協議会の高山 尚樹 氏から、セキュリティ・キャンプ事業の内容と意義・位置づけ等についてご紹介しました。

 続いて講演2として、個人情報保護委員会 総務課 広報室の松井 優洋 氏から、「個人情報保護の基礎」と題してご講演をいただきました。動画等も用い、ビジネスでよくあるシーンなども例示の上、個人情報保護の必要性と守るべきポイントについて大変わかりやすくご紹介いただきました。

 


 講演3は、高知工業高等専門学校 客員教授の竹迫 良範 氏から、「サイバーセキュリティ人材は本当に不足しているのか?~日本の人材育成事業の現状と課題~」と題しご講演いただきました。竹迫氏のご講演では、セキュリティコンテストSECCONをはじめとするセキュリティ技術教育の歴史やCTF(Capture The Flag)競技の概要について触れていただくとともに、自身が開発したプログラムも題材に、AIなども用いた各種の「自動化」の動向について、サイバーセキュリティ分野での最新の話題をご紹介いただきました。講演の後半では、今後必要となるセキュリティ人材について、自動化の動向も踏まえ、特に各種の脅威やアラートの「分析」フェーズや、それを踏まえた優先順位の判断(トリアージ)等の領域において、ますます高度な人材が求められるようになるとの見解をご紹介いただきました。そのため、まさに現在、地域の財界や高専等学校も巻き込み、若手の技術者の発掘・育成に関するさまざまな施策が進められていることについてもご説明いただきました。

 施策紹介では、関西地域でのサイバーセキュリティ普及啓発・人材育成活動を推進する関西サイバーセキュリティ・ネットワーク(関西SEC-net)事務局の構成団体である、経済産業省近畿経済産業局、総務省近畿総合通信局、KIISの3団体が、それぞれが推進するサイバーセキュリティ関連施策についてご紹介しました。

 休憩を挟み、イベント後半では、トークバトルセッション「様々な問題に喝!サイバーセキュリティお悩み相談室」と題し、講演をいただいた竹迫様を含め6名の有識者の方にご登壇いただき、議論をいただきました。ご登壇いただいたのは以下の方々です。(所属はいずれもイベント開催当時のもの)
 上野 宣 氏(株式会社トライコーダ)、佳山 こうせつ 氏(東京電機大学)、竹迫 良範 氏(高知工業高等専門学校)、堀 祐太 氏(富士通株式会社)、松本 悦宜 氏(Capy株式会社)、森田 智彦 氏(パナソニック ホールディングズ株式会社)。また、議論の進行はKIISの石橋 裕基が務めました。

 今回の議論の際には、パネリストから互いの発言や会場からの意見に対して「喝!」「あっぱれ!」の札を挙げる仕組みを取り入れました。これにより、発言に対して「賛同する」「物申す」の意思表明が容易になり、時には笑いも交え大変盛り上がりました。司会者が突然フロアに無茶振りで意見を求める「場外乱闘」のシーンもありました。会場からの意見については、オンライン意見投稿システムsli.doを用い、誰でも常時質問が投稿できるようにしました。質問の内容は、日ごろのサイバーセキュリティ関連情報の収集方法、社内での社員個人情報の取り扱い、クラウドサービスの活用方法、セキュリティを意識した製品・サービス開発の考え方など多岐にわたり、結果的に集まった質問は30件以上となりました。

 ディスカッション終了後は会場内全体を使い、お茶・お菓子を片手にネットワーキングを行いました。先のディスカッションで対応することができなかった質問内容なども含め、終了時間ぎりぎりまで多くの方に講師等登壇者との交流を深めていただきました。
 
 イベント全体を通じ和やかな雰囲気でありながら、集合型ならではの熱気も感じられ、議論もこれまでの他のセミナー・イベント以上に盛り上がったと思います。参加者アンケートでも、「トークバトルについては、聴衆も参加型で非常に楽しく良い内容でした。内部セミナーを計画する際に、取り入れてみようと思いました」「オンサイト開催のため、オンラインでは得られない熱量のある、議論や意見交換ができたと感じた」「セキュリティの学びの楽しさ、大切さを再確認出来た」など、たくさんのお言葉をいただきました。トークバトル登壇者自身も大変楽しめたようで、来年もまた集まりたいという気持ちを強くし、初日の一般講座を終えました。

■ 専門講座|2024年3月23日(土)実施報告

 3月23日の専門講座は、場所をKIIS会議室に移し、学生等若手技術者向けセキュリティ演習を行いました。各自がパソコンを用いて参加する技術実習2件に先立ち、地元の警察本部担当者による倫理講義も実施しました。講座には事前の選考を通過した大学院生から中学生まで20名が参加し、遠くは北陸や関東地方から来られた方もいらっしゃいました。

 セキュリティ・キャンプの特徴として、過去にキャンプに参加した修了生がその後も後進の育成のために事業に関わるということがあります。今回も、技術講師を務めていただいた太田 芽衣 氏、工藤 信一朗 氏ともに過去のセキュリティ・キャンプに参加されたOB・OGであり、また受講生のサポート役として活動いただいたチューターのみなさまも同様にキャンプ修了生でした。こういった世代を受け継いで人材育成の取り組みが進められるという点は大変意義深いと感じられるところです。
 
 講義では、まず大阪府警察本部 警務部 高度情報推進局 サイバーセキュリティ対策課 係長の小林 賢司 氏から、「サイバー犯罪事例から考える倫理観」についてお話しいただきました。大阪地域を中心とした具体体なサイバー犯罪の動向について最新情報を説明いただくとともに、実際にあった2件のサイバー犯罪事例のケースをもとに、具体的な不正アクセスの手口や闇サイトの存在等についてご紹介いただきました。もちろん、法に触れるようなことを絶対にしてはならないという倫理観についても丁寧にお伝えいただき、受講者は大変真剣な眼差しで聞き入っていました。

 技術講義の1件目は、ソニー株式会社の太田 芽衣 氏による「セキュアな通信のしくみを学ぼう」の講義でした。インターネット上の通信の安全性を守る暗号や認証の仕組みについて、イラストを交えたわかりやすいスライドで説明いただくとともに、実機を用いて通信の仕組みについて学ぶハンズオンを行っていただきました。ネットワーク環境の不備もあり、一部の演習内容はやむなく変更することとなりましたが、Wiresharkなどのツールを用いて平文の通信の内容を抜き出す実験、暗号化を用いた通信内容を確認する実験などを行っていただきました。

 技術講義2件目は、工藤 信一朗 氏による「自作OSへの準備を通じて、低レイヤープログラミングを体験してみよう。」です。よほど技術に長けた人でないととっつきにくい「自作OS」の考え方についてわかりやすく説明いただくとともに、実際にエディタを用いてC言語のプログラミングやアセンブラ体験等を進めていただきました。講義の中では簡単なブートローダを制作しシステムを起動する方法や、関数の実装の考え方についてレクチャーいただきました。決して難易度は低いものではありませんでしたが、受講者は熱心に実習に取り組んでいました。

 実習の合間の昼休憩には、参加者がテーブルを囲んでお弁当を食べながら楽しく会話する様子も見られました。興味がある技術や学校の話題等で盛り上がっていたようです。みな丸一日演習を一緒に受講した仲間として大変親しくなったようで、演習終了後もなかなか会場を後にせず、話し込む姿もたくさん見受けられました。おそらく今後も継続する人間関係がこの演習を通じて多数醸成されたものと思われます。

 イベント後のアンケートでも、今回の講義を受講して本当によかった、倫理と技術の両方を学べ、かつ周りの参加者とも仲良くなれたということについて評価くださる受講生が多数おられました。「家に帰ってすぐに復習してみよう」と意気込んでいた受講生もおられました。多くの方の心に残るイベントになったものと思われます。

■ 全体所感

 今回、4年ぶりに対面での一般講座・専門講座が実施できたセキュリティ・ミニキャンプ in 大阪 2024ですが、事務局が想像していた以上に成果の多いイベントになりました。参加者の熱量をじかに感じられる点やコミュニケーションの楽しさ、新たなネットワークの構築等、対面イベントであればこそ得られるものがたくさんあったように思います。

 サイバーセキュリティの裾野を広げ、次代を担っていく人たちを育成・サポートする取り組みとして、KIISでは引き続きセキュリティ・キャンプ、セキュリティ・ミニキャンプに積極的に参画していきたいと考えています。その他のサイバーセキュリティ関連イベント含め、引き続き様々な活動にご協力いただけますと幸いです。


■ 開催概要

日時:    (一般講座)2024年3月22日(金)13:30-17:30
(専門講座)2024年3月23日(土)9:00-17:00
場所:(一般講座)松下IMPビル2階 貸会議室C
(専門講座)一般財団法人関西情報センター 会議室
主催: 一般財団法人関西情報センター(KIIS)
一般社団法人セキュリティ・キャンプ協議会
独立行政法人情報処理推進機構(IPA) ※一般講座は後援
共催:関西サイバーセキュリティ・ネットワーク事務局(経済産業省近畿経済産業局、総務省近畿総合通信局、一般財団法人関西情報センター(KIIS)
後援: 公益社団法人関西経済連合会、大阪商工会議所、⼤阪府警察本部警務部⾼度情報推進局サイバーセキュリティ対策課、組込みシステム産業振興機構

(以上)

関連記事